アルジャーノンに花束を

僕がその本を最初に読んだのは母の勧めだった
その頃にはまだ父は生きていて
それまでろくに本なんて読んじゃいなかったのだけれど
少しずつ読み始めてた折だった

大人の世界を斜に構えて見る少年のように
はたまた苦悩する青年のように
あるいは虚ろな中年や孤独な老人のように
僕は“救い”と“答え”を求めていた

全ての人たちの数だけ真実の言葉が在るのに
僕はそれを暴食した

だんだんと降り積もる知識
それに幸せは埋もれてゆくみたいだ
なんて皮肉なもんなんだ
気づき気づけなくなる

世の中には素晴らしい知恵が沢山あふれるのに
何故だか僕はそれを活かせない
本の中のあの人みたいになりたくて本を読むのに
頭でっかく固くなる

「今年の冬はとても寒い」ってまた言ってる
僕はそれに飽き飽きした

だんだんと降り積もる雪
そしてあたたかさも埋もれてゆくみたいだ
なんて冷たくなって
人を許せなくなる

『誰かの言葉を好きになる』
それはとても純粋な事なのに
色眼鏡をかけてしまったから
好きな言葉を嫌いな人の
その人の言葉に気を病んで
やがて不健全な知識欲

だんだんと降り積もるのは
枯れた花束の花びらみたいだ
落ちて誰かに踏まれて
かなしい音が聴こえる

だんだんと降り積もる自意識
“救い”と“答え”から遠ざかってゆくみたいだ
どうか全てをわすれたら
「やさしく、なれます、ように」

僕がその本を最初に読んだのは母の勧めだった
その頃にはまだ父は生きていて
それが最後の言葉になるなんて思ってもみなかった
僕はただただ泣いていた

作詞・作曲:Ryota Noguchi